第812回MS
宇部フロンティア大学 特命准教授 内田 鉄平氏
テーマ:『虎屋の饅頭から学ぶ』江戸時代の商売繁昌の秘訣
宇部市を中心に古文書講座や歴史講座を開催されている宇部フロンティア大学特命准教授内田鉄平先生に『虎屋の饅頭から学ぶ』江戸時代の商売繁昌の秘訣をテーマに講話をして頂きました。
内田先生は、市内の文化財調査や教育委員会のもとで文化財保護指導もされていて、文化財の保護、活用についても貢献されています。講話は、
「虎屋と言っても羊羹のとらやではありません。」との説明から始まりました。
現代にも通じる江戸時代の商売繁盛の秘訣を饅頭の虎屋を例えての内容です。饅頭の虎屋は大坂高麗橋近くにあり、庶民の旅行ブーム、中でもお伊勢参りの途中に大勢のお客さんが押し寄せていたそうです。新聞もインターネットもない江戸時代にどうやって全国からお客が押し寄せる繁盛店になったかと言う話は、事業を営む私たちには興味のあるところです。
お伊勢参りの途中に立ち寄った人の口コミはもちろんですが、「守貞謾稿」「見立番付」、なかでも十返舎一九の「東海道中膝栗毛」で紹介されたことで名前が売れ出したそうです。また、商売敵として東雲堂の大手饅頭(岡山の大手饅頭ではありません。)が売れるも結局虎屋の勢いに押され天保末期には廃業したことも残っているそうです。
そして驚いたのは、大坂の名所を取り上げた「浪花名物 富貴地位座」での虎屋の記載に「饅頭切手」とあり、贈答用の饅頭のギフトカードは当時でも珍しく、ほかにも店先の人目に付く場所での店頭販売など現代にも通じる方法を江戸時代の人も考えていたことでした。古文書などを通して、地域の伝説や歴史を産業に結び付けたり、名物も観光の資源にしていた先人の知恵を再考することは、現代に活かすきっかけになると思いました。
藤澤事務長からの連絡事項は、
「9月から山口市倫理法人会のモーニングセミナー会場が梅乃屋に変わります。」
参加者31名